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産婦人科看護師が辞めたいと感じる理由と、経験を活かす次のキャリア

看護師転職の羅針盤 編集部9分で読めます
目次

「また今夜も呼ばれるかもしれない。でも、いつ呼ばれるかが分からない」

そんな不安を抱えながら、仮眠室で目を閉じたことはありますか?

深夜2時の緊急帝王切開コール、泣き崩れるお母さんの横で感情を押し殺してそっと寄り添う時間、次の分娩がいつ始まるか分からない緊張感——産婦人科の夜勤は、他の診療科とは異なる種類の過酷さがあります。

「生命の誕生に携われる仕事だから頑張れる」と思ってきた。でも、心と体がもう限界に近い——そんな状態でこの記事にたどり着いた方もいると思います。辞めたいと感じるのは、あなたが弱いからではありません。産婦人科という環境の特殊性が、看護師に多大な負荷をかけているのです。

産婦人科看護師が辞めたいと感じる主な原因は、分娩の予測不能性による夜勤負荷・死産や流産のグリーフケアの精神的重圧・少子化による産科縮小の将来不安の3つです。2024年の出生数は686,061人(厚生労働省)と過去最少を更新し、産科の集約化が進んでいます。


産婦人科看護師が辞めたいと感じるのは珍しくない

まず知っておきたいのは、あなたと同じ気持ちを持っている看護師が、数多くいるという事実です。

3人に1人以上の看護師が「辞めたい」と感じた経験がある37.0%

日本医療労働組合連合会 看護職員の労働実態調査(2022年)

日本医療労働組合連合会の「2022年 看護職員の労働実態調査」によると、看護師全体の37.0%が「辞めたいと感じた経験がある」と回答しています。3人に1人以上が、同じような感情を抱えているのです。

産婦人科は、看護師の中でも特に精神的・身体的負荷が高い部門のひとつです。また、日本看護協会「2022年 病院看護・助産実態調査」によると、正規雇用看護師の離職率は11.8%です。毎年、一定数の看護師が職場を離れているという現実があります。

「辞めたいと思うのは自分だけ」「弱いから耐えられない」と、自分を責めないでください。産婦人科という環境の構造的な負荷が、こうした感情を生み出しているのです。


産婦人科看護師が辞めたくなる4つの原因

看護師全体に共通する悩みに加えて、産婦人科ならではの4つの要因があります。

分娩の予測不能性と夜勤の過酷さ

産科の現場では、分娩の多くが夜勤帯(夜間・深夜)に発生するとされています。産科夜勤は「分娩がいつ始まるか分からない」状態で過ごすことがほぼ日常です。

日本医療労働組合連合会の2022年調査では、看護師の退職理由2位は「夜勤・交代制の負担」で22.1%でした。産科では、分娩が重なる可能性がある分、この負担がさらに増幅されます。

少人数の夜勤体制の中、複数の分娩が同時進行する状況になれば、物理的に手が足りなくなることもあります。「いつ呼ばれるか分からない」という状態が慢性的に続くことで、休息をとっていてもなかなか疲れが回復しない、という悪循環に陥りやすいのです。

死産・流産のグリーフケアによる精神的消耗

産婦人科では、喜びの場面だけでなく、流産・死産という悲しい別れの場面にも立ち会います。

厚生労働省「産科医療機関スタッフのための支援の手引き」(令和3年度)によると、流産・死産を経験した方の93.0%が直後に辛さを感じており、1年以上経過しても32.2%がなお辛さを感じています。当事者にとっていかに深い悲しみであるかが、数字からも伝わります。

そのご家族に寄り添うのが産婦人科看護師の仕事です。しかし、ケアを提供する側の看護師自身も、こうした場面を繰り返し経験する中で、感情的に消耗していきます。

さらに産婦人科という病棟では、「命の誕生」と「命の喪失」が同じ空間・同じ時間軸の中で起きます。隣の分娩室から赤ちゃんの泣き声が聞こえる中で、死産の告知を受けたお母さんの傍らにいる——そうした場面は、心が強い人でも消耗します。グリーフケアの重圧は、産婦人科看護師に特有の精神的負荷です。

助産師との役割分担の曖昧さ

産婦人科では、分娩介助は助産師のみが行える業務です。看護師は分娩の直接介助ができず、補助的な役割にとどまることになります。

「産婦人科で働いているのに、自分の看護は何なのだろう」というアイデンティティの揺らぎを感じている方も少なくありません。助産師と看護師の役割が明確に分かれているようで、実際の現場では境界が曖昧になりやすく、人間関係のストレスに発展することもあります。

日本医療労働組合連合会の2022年調査では、退職理由の1位は「人間関係」で26.5%でした。職種間の役割の違いが、日常の関係性に影響を及ぼすことも、産科ならではの課題です。

少子化による産科縮小の将来不安

厚生労働省の2024年統計によると、年間出生数は686,061人(過去最少)、合計特殊出生率は1.15(過去最低)となっています。少子化の加速は、産科の存続にも直接影響しています。

2024年の年間出生数(過去最少)686,061人

厚生労働省 人口動態統計(概数)(2024年)

地方を中心に産科の統廃合・集約化が進んでおり、「このまま産科に勤めていて大丈夫だろうか」という将来不安を感じている方も増えています。キャリアの先行きが見えにくい状況は、日々の仕事へのモチベーションにも影響します。

産婦人科では、夜勤の負担(退職理由2位)がとりわけ増幅されます。また人間関係(退職理由1位)も、助産師・看護師の役割分担の曖昧さから生じやすい環境です。


限界に近づいているサインをチェック

以下は、あくまで「気づき」のためのリストです。診断ではありません。当てはまるものが多いと感じたら、まずは立ち止まって現在の状況を振り返ってみてください。

当てはまるものが多い場合は、現在の環境を見直す一つの材料として受け止めてみてください。今すぐ転職しなければならないわけではありませんが、「このままでいいか」を一度考えることは大切です。


辞めたいと感じたときの3つの対処法

1. 辛さの根本を言語化してみる

「辞めたい」という気持ちの奥にある原因を、できるだけ具体的に言葉にしてみてください。

  • 夜勤の身体的負荷が限界なのか
  • グリーフケアの精神的消耗が積み重なっているのか
  • 役割の曖昧さや人間関係が原因なのか
  • 少子化による将来不安が大きいのか

原因によって、次のアクションが変わります。「産婦人科そのものが嫌なのか」「今の職場環境が合わないのか」を区別することが、最初のステップです。

2. 産科の中で環境を変える

産婦人科・産科という領域を離れなくても、働き方を変えられる選択肢があります。

  • 産科クリニック(クリニック分娩): 件数が病院より少なく、夜勤の負荷が低下しやすい
  • 産後ケア施設・マタニティホテル: 退院後の母子をサポートする施設。緊急対応が少なく、日勤中心が多い
  • 婦人科外来: 分娩対応がなく、外来診療に集中できる。同じ病院内での異動が可能なケースもある

産科の経験や知識を活かしながら、身体的・精神的負荷を下げる働き方に移行することが可能です。

3. 産科経験を活かして他科へ転職する

産婦人科で培ったスキルは、他の診療科でも高く評価されます。

  • 小児科・NICU: 新生児ケアの経験・母子への関わり方が直結する
  • 保育園・企業内保育所: 乳幼児の健康管理・保護者への対応力が活きる
  • 一般病棟: 急変対応・家族支援・コミュニケーション力が評価される
  • 訪問看護: 褥婦や産後の女性ケアの視点を持った看護師として重宝される

看護師全体の平均年収は508.1万円(厚生労働省 賃金構造基本統計調査 2023年)で、全産業平均の約454万円の約1.1倍です。産科で培った専門性は、転職市場でもしっかり評価されます。

転職先の選び方で迷ったときは、看護師のうつ・メンタル不調と転職の考え方看護師の転職の流れと手順もあわせて参考にしてみてください。

産婦人科の経験、次のステップでも活かせます

母子ケア・急変対応・家族支援のスキルを求めている職場は多くあります。まずは選択肢を見てみませんか。


「産婦人科を離れたらどうなった?」——先輩たちの声

夜勤ゼロ、でも母子ケアは続けられています

産科病棟で4年間働いていました。分娩が重なる夜勤と、死産後のご家族対応が重なった時期が特につらく、「もうこの仕事を続けられないかも」と思いました。

転職先として選んだのは、小児科クリニックです。産科の経験は活かせるか不安でしたが、「新生児・乳幼児ケアの経験がある」「保護者との関わりに慣れている」という点が転職面接で高く評価されました。

今は夜勤がなく、保護者の相談に丁寧に向き合える環境で働いています。産科は離れましたが、母子に関わる仕事は続けられていて、今はそれで十分だと感じています。

M.Y さん20代後半
産科病棟(総合病院) → 小児科クリニック

分娩対応がなくなっただけで、こんなに楽になるとは思わなかった

「辞めたい」という気持ちはあっても、今の職場の人間関係は悪くないし、生活を急に変えるのも怖い——そう感じて、まず師長さんに「婦人科外来へ異動できないか」と相談しました。

正直、「わがままだと思われるかも」と不安でしたが、師長さんは思いのほか親身に対応してくれました。異動後は分娩対応がなくなり、「いつ呼ばれるか分からない」という緊張感から解放されました。夜勤もほぼなくなり、プライベートも少し戻ってきた感じがします。

転職より先に「異動」という選択肢を試してよかったと思っています。

K.T さん30代前半
産科病棟 → 婦人科外来(同一病院内で異動)

よくある疑問 Q&A

Q. 産婦人科の経験は他の科で評価されますか?

A. はい、十分に評価されます。産婦人科での経験で身につく「急変への対応力」「家族(パートナー・祖父母)への説明・支援」「新生児・乳幼児ケア」「グリーフケアの姿勢」は、小児科・NICU・訪問看護・一般病棟など幅広い職場で活きます。「産科しかできない」と思わず、自分のスキルの幅広さに自信を持ってください。

Q. 少子化で産科看護師の需要は減っていますか?

A. 出生数の減少に伴い、産科の統廃合が進んでいるのは事実です。ただし、産科経験を持つ看護師の絶対数も少なくなっているため、残る産科施設での需要はむしろ高まる可能性があります。また、産後ケア施設・マタニティ関連施設の整備が進んでおり、新たな雇用の場も生まれています。「産科の仕事が完全になくなる」という心配は、現時点では過度です。

Q. 産婦人科を辞めたいと思うのは「命の現場に向いていない」ということですか?

A. そうではありません。辞めたいという気持ちは、「向いていない」のではなく「消耗している」サインです。むしろ、真剣にケアに向き合ってきたからこそ精神的・身体的に消耗するのであり、それは「向いている人」がたどりやすい道でもあります。今の環境が合わないと感じることと、看護師として母子に関わること自体が嫌いなこととは、別の話です。


まとめ:産婦人科の経験は「あなたの強み」です

産婦人科看護師が「辞めたい」と感じる背景には、次の4つの構造的な要因があります。

  • 分娩の予測不能性: 夜勤帯に集中しやすい分娩の負荷
  • グリーフケアの精神的消耗: 死産・流産経験者の93.0%が直後に辛さを感じる(厚労省 令和3年度)
  • 役割の曖昧さ: 助産師との分業が人間関係の複雑さにつながる
  • 少子化の将来不安: 2024年出生数686,061人(過去最少)、合計特殊出生率1.15(過去最低)

辞めたいという気持ちは、あなたが弱いからではありません。産婦人科という環境の特殊性が生み出す、ごく自然な反応です。

あなたの状況に合わせて、次のステップを探してみてください。

まずは選択肢を広げることから始めてみませんか

産婦人科の経験は、多くの職場で求められています。今すぐ転職しなくてもいい。まず情報を集めるだけでも、気持ちが楽になることがあります。

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