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病院の離職率は本当に高い?最新の全国・都道府県別データ

看護師転職の羅針盤 編集部2026年6月30日 更新7分で読めます
目次

看護師の正規雇用離職率は11.3%(2023年度)で、全産業平均の15.0%より低い水準です。ただし既卒採用者は16.1%と高く、転職先のミスマッチが課題になっています。都市部ほど離職率が高く、大規模病院ほど低い傾向があります。

「看護師って離職率が高い」は本当?

「看護師は離職率が高い」。転職を考え始めると、こんな話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。同僚が辞めていくのを見ると、「この業界は人がすぐ辞めるのかな」「自分も辞めていいのかな」と不安になりますよね。

でも、感覚で語られがちな離職率を、データで正確に見てみると違った景色が見えてきます。日本看護協会が2025年3月に公表した最新の「2024年 病院看護実態調査」(対象年度:2023年度)のデータを使って、看護師の離職率の実態を読み解いてみましょう。

最新データ:看護師の離職率は11.3%

毎年10人に1人以上の看護師が職場を離れている(2023年度)11.3%

日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(2025年)

2023年度の正規雇用看護職員の離職率は11.3%。前年度(11.8%)から0.5ポイント改善しています。

ここで重要なのは、全産業の平均離職率は約15.0%(厚生労働省「雇用動向調査」)だということ。実は看護師の離職率は全産業平均よりも低いのです。「看護師は離職率が高い」というイメージは、必ずしもデータに裏付けられているわけではありません。

新卒・既卒で大きな差がある

離職率を見るとき、注意したいのが「新卒」と「既卒(中途採用)」の違いです。

区分別 離職率(2023年度)

正規雇用全体
11.3%
新卒採用者
8.8%
既卒採用者
16.1%

出典: 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(2025年)

新卒の離職率は8.8%(前年度10.2%から大幅改善)で、コロナ禍前の水準に戻りつつあります。一方、既卒採用者の離職率は16.1%と依然として高い水準にあります。

この差が意味するのは、中途採用の看護師が新しい職場に定着しにくい現実です。「転職したけど合わなかった」という経験をしている人が少なくないということ。転職先を選ぶ際には、職場の雰囲気や教育体制を事前にしっかり確認することが大切です。

都道府県別:東京14.2%、岩手6.8%の格差

離職率には、住んでいる地域によって大きな差があります。

離職率が高い都道府県

正規雇用離職率 — 上位3都府県(2023年度)

東京都
14.2%
大阪府
13.7%
神奈川県
13.6%

出典: 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(2025年)

離職率が低い都道府県

正規雇用離職率 — 下位4県(2023年度)

岩手県
6.8%
山形県
6.8%
秋田県
7.4%
富山県
7.6%

出典: 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(2025年)

東京都(14.2%)と岩手県・山形県(6.8%)では約2倍の開きがあります。都市部で離職率が高い背景には、求人の選択肢が多いため転職しやすいこと、キャリアアップ志向が強いこと、生活費の高さから給与への不満が生まれやすいことが挙げられます。

逆に地方では「地元の病院に長く勤める」という傾向があり、離職率が低く推移しています。

病床規模別:大きい病院ほど辞めにくい

病床規模別 正規雇用離職率(2023年度)

99床以下
12.6%
100〜199床
12.6%
200〜299床
12.2%
300〜399床
11.3%
400〜499床
11.1%
500床以上
10.4%

出典: 日本看護協会「2024年 病院看護実態調査」(2025年)

病床規模が大きいほど離職率が低い傾向がはっきり出ています。500床以上の大規模病院は10.4%、99床以下の小規模病院は12.6%。さらに、既卒採用者に限ると99床以下では21.8%にまで跳ね上がります。

大規模病院は教育体制や福利厚生が充実しているため、看護師が安心して働き続けられる環境が整いやすいことが背景にあります。

過去10年の推移:コロナ禍で一時悪化、今は回復傾向

正規雇用看護職員の離職率推移

2016年度
10.9%
2017年度
10.9%
2018年度
10.7%
2019年度
11.5%
2020年度
10.6%
2021年度
11.6%
2022年度
11.8%
2023年度
11.3%

出典: 日本看護協会「病院看護実態調査」各年度

過去10年間、正規雇用の離職率はおおむね10.6〜11.8%の範囲で安定しています。新卒離職率はコロナ禍の影響で2021〜2022年度に10%台に急上昇しましたが、2023年度は8.8%に改善し、コロナ禍前の水準に近づいています。

このデータから何を読み取るべきか

1. 「離職率が高い」は思い込みの可能性がある

全産業平均15.0%に対して看護師は11.3%。数字だけ見れば、看護師の離職率は決して高くありません。ただし、人材不足が深刻な医療業界では、11%でも現場への影響は大きいのが実情です。

2. 転職先選びが定着の鍵

既卒採用者の離職率16.1%は、転職先のミスマッチが起きている証拠です。「給与が高い」「家から近い」だけで選ぶと、職場の雰囲気や教育体制とのギャップに苦しむ可能性があります。

3. 病院の規模と地域で働きやすさは変わる

大規模病院は離職率が低く、教育体制も充実しています。転職先を選ぶ際には病床規模も判断材料の一つにしましょう。

4. 病院の離職率を実際に調べるには

離職率データを活かして転職先を選ぶには、次の手順が有効です。

  1. 求人票の「定着率」「平均勤続年数」を確認する — 離職率を直接開示している病院は少ないですが、「平均勤続年数が10年以上」であれば定着しやすい環境の目安になります。
  2. 転職エージェントに病院の離職率を質問する — エージェントは取引のある病院の内部情報を持っていることがあります。「直近3年の離職率を教えてもらえますか」と具体的に尋ねるのが効果的です。
  3. 求職者向け口コミサイトで確認する — 看護師向けの口コミサービスでは、在職中・退職後の看護師が職場環境を投稿しています。1件だけでなく複数件読んで傾向をつかみましょう。
⚠️ つまずきやすい落とし穴

転職エージェントに「離職率を教えてほしい」と尋ねたとき、「把握していません」と返答されることがあります。しかし諦めずに「なぜ前任者が辞めたか分かりますか」「夜勤体制や師長のサポート体制はどうですか」と質問の角度を変えると、離職率に直結する情報を引き出せることがあります。一方で、エージェントが「定着率が高いです」と答えたとしても、それはエージェント側が把握している範囲の情報です。最終的には面接時に現場の看護師に「入職後に驚いたことはありますか」と聞くなど、自分でも直接確認する姿勢が大切です。エージェント情報を鵜呑みにしてしまうのが、ミスマッチを起こす最大の原因のひとつです。

転職先の離職率や教育体制は、事前に確認できる

病院の規模・教育体制・人間関係など、求人票だけではわからない情報を転職エージェントに確認してもらえます。

こんな転職判断は危険:よくある失敗例

離職率データを正しく使わず転職してしまうパターンを紹介します。自分に当てはまるものがないか確認してみてください。

NG例①「全産業より低いから問題ない」で終わらせる

「看護師の離職率11.3%は全産業平均15.0%より低い。だから今の職場も大丈夫」という判断は危険です。全体の平均値は「自分が働く病院」の実態を保証しません。既卒採用者が16.1%、小規模病院の既卒に限ると21.8%という数値が示すように、病院・雇用区分によって実態は大きく異なります。「業界平均」で安心して個別の職場を調べなかった結果、入職後に高い離職率の現場に飛び込んでしまう事例は少なくありません。

NG例②「都市部だから給与が高い」だけで転職先を選ぶ

東京都の離職率は14.2%と全国平均を約3ポイント上回ります。都市部は求人が多い半面、看護師同士の流動性も高く、競争的な職場環境になりやすい傾向があります。「給与アップ」だけを目的に都市部の病院へ転職し、職場の人間関係や業務量の多さに疲弊して再び転職を繰り返すというパターンは珍しくありません。給与だけでなく、教育体制・夜勤回数・人員配置のバランスで職場を評価しましょう。

NG例③「大病院なら安心」と細部を確認しない

500床以上の病院の離職率は10.4%と低く、教育体制も充実していることが多いです。ただし、同じ大病院でも診療科や病棟によって環境は大きく異なります。「大病院に受かった」と安心してしまい、配属される病棟の夜勤体制や人員数を確認しなかった結果、過酷な環境に配属されたというケースも起きています。病院全体の数値だけでなく、配属予定の部署の実態まで確認する習慣をつけましょう。

転職するなら「情報」で失敗を防ぐ

離職率のデータが教えてくれるのは、転職そのものが悪いのではなく、「合わない職場に入ってしまうこと」が問題だということ。転職エージェントでは、病院の規模や教育体制、離職率の傾向など、求人票だけではわからない内部情報を教えてもらえることがあります。

まとめ

看護師の正規雇用離職率は11.3%で、全産業平均(15.0%)よりも低い水準です。ただし既卒採用者は16.1%と高く、転職先のミスマッチが課題。都市部ほど離職率が高く、大規模病院ほど低い傾向があります。

「離職率が高いから看護師は大変」ではなく、「どんな職場を選ぶかで定着率は変わる」。データを味方にして、次の職場選びに活かしてみてください。

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参考文献

  1. 2024年 病院看護実態調査(報告書 No.101)2026-02-16 閲覧)
  2. JILPT — 正規雇用看護職員の離職率は11.3%に2026-02-16 閲覧)
  3. 厚生労働省「令和5年(2023年)雇用動向調査結果の概要」2026-02-16 閲覧)

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