ノウハウ

特定行為研修とは何が増える?修了者数の伸びとキャリア価値

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目次

特定行為研修は、看護師が医師の手順書に基づき38の医療行為を自律的に実施できるようになる制度です。修了者は13,887名(2025年9月時点)、費用は30万〜250万円で、診療報酬上の評価拡大により修了者を求める施設が増加しています。

「手順書があれば、看護師の判断で医療行為ができる」

特定行為研修——名前は聞いたことがあっても、「具体的に何ができるようになるの?」「取ったほうがいいの?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。

2015年に始まったこの制度は、看護師が医師の手順書に基づいて38の医療行為を自律的に判断・実施できるようになるための研修制度です。たとえば、人工呼吸器の設定変更、中心静脈カテーテルの抜去、脱水の程度に応じた点滴調整など。これまで「医師の指示待ち」だった場面で、看護師自身の判断で動けるようになります。

この記事では、制度の全体像から修了者数の推移、費用、キャリアへの影響まで、データで解説します。

制度の全体像:38行為・21区分

医師の指示待ちなく看護師が自律実施できる行為の範囲38行為・21区分

厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」(2015年)

特定行為研修制度は、2015年10月に保健師助産師看護師法の一部改正に基づいて施行されました。背景には、在宅医療の推進医師の働き方改革があります。

主な特定行為の例

区分具体的な行為例
呼吸器関連気管カニューレの交換、人工呼吸器の設定変更
循環動態関連血管収縮薬や降圧剤の投与量の調整
栄養関連中心静脈カテーテルの抜去
創傷管理関連壊死組織のデブリードマン
術後管理関連術後の鎮痛薬の投与量調整
動脈血液ガス関連動脈血液ガス分析の直接採血

「手順書」とは、医師が事前に作成する包括的な指示書。患者の病状の範囲や実施する行為の手順が記載されており、看護師はその範囲内で自律的に判断します。

修了者数の推移:10年で13,887名に

特定行為研修 累計修了者数の推移

2020年
2,887名
2021年
4,393名
2024年3月
11,840名
2025年9月
13,887名

出典: 厚生労働省 医政局看護課

2020年時点では約2,900名だった修了者数は、2025年9月時点で13,887名に。特に2022年以降は年間2,000〜3,000名規模で増加が加速しています。

指定研修機関の拡大

指定研修機関数の推移

2017年
40機関
2018年
69機関
2020年
222機関
2025年
474機関

出典: 厚生労働省

研修機関は制度開始から約10年で12倍に増加し、現在は全47都道府県に設置されています。年間定員は6,717名まで拡大しました。

目標とのギャップ

ただし、制度設計時に掲げられた「修了者10万人規模」という目標に対しては、10年経過時点で約14%の達成率にとどまっています。厚生労働省は研修の効率化を進めており、今後の加速が期待されます。

目標10万人に対しまだ14%、修了者の希少価値は高い約14%

厚生労働省 特定行為研修制度見直しWG資料(2025年)

6つの領域別パッケージ:現場ニーズに直結

2019年の省令改正で「領域別パッケージ研修」が導入されました。関連する複数の特定行為区分をまとめて受講できる仕組みです。

領域別パッケージ(6領域)

在宅・慢性期
訪問看護・在宅看取り
外科術後病棟管理
一般病棟の術後管理
術中麻酔管理
手術室の麻酔補助
救急
2次・3次救急
外科系基本
外科系診療全般
集中治療
ICU・重症患者管理

出典: 厚生労働省

自分の活躍領域に合ったパッケージを選ぶことで、効率的に必要なスキルを身につけられます。

研修の期間・費用:投資はどれくらい?

研修の構成

科目時間数内容
共通科目250時間臨床推論、フィジカルアセスメント、疾病・臨床病態概論など
区分別科目5〜34時間/区分選択した行為区分ごとの知識・実技

期間と費用

項目目安
期間6か月〜2年(1年程度が最多)
費用30万〜250万円(機関・選択区分数で異なる)
eラーニング対応している研修機関あり(働きながら受講可能)

費用を抑える方法

支援制度内容
専門実践教育訓練給付金受講費用の最大40%(上限20万円)を受給可能
都道府県の助成事業独自の助成制度あり(例:兵庫県等)
所属施設の負担一部の病院では研修費用を病院負担、受講中も給与支給

所属施設に確認してみると、意外と手厚い支援が受けられるケースがあります。

キャリアへの影響:診療報酬上の評価が拡大中

施設での資格手当

特定行為研修修了に対する専用手当を設けている施設はまだ一部にとどまり、手当額は月額数千円〜数万円と幅があります。現時点では、手当だけで「元が取れる」とは言いにくい状況です。

診療報酬上の評価(2024年度・2026年度改定)

特定行為研修修了看護師の配置が診療報酬で評価されるケースが拡大しています。

加算項目内容
特定集中治療室管理料修了者の配置が要件
重症患者対応体制強化加算ICUでの配置が評価
訪問看護の加算特定行為実施時の加算
2026年度改定救急外来への配置が評価対象に追加

病院にとって「特定行為研修修了看護師を配置すると診療報酬が増える」仕組みが強化されているため、施設側が修了者を求める動きが加速しています。これは転職市場での価値向上に直結します。

認定看護師B課程との相乗効果

2019年からスタートした認定看護師B課程(新制度)には特定行為研修が組み込まれています。認定看護師+特定行為研修修了というダブルの資格を持つことで、キャリアの選択肢がさらに広がります。

受講を決める前のチェックリスト

特定行為研修を受けるかどうか迷っている方のために、判断のポイントを整理します。

受講をおすすめする人

  • 在宅医療や訪問看護の現場で、医師不在時に判断を求められることが多い
  • ICUや救急で、タイムリーな処置を看護師の判断で行いたい
  • 認定看護師B課程を目指しており、特定行為研修が必須
  • 将来的にナースプラクティショナー的な役割を担いたい

慎重に検討すべき人

  • 6か月〜1年の研修期間を確保することが難しい
  • 所属施設の費用支援が受けられず、自己負担が大きい
  • 現在の診療科で特定行為を活用する場面が少ない

受講前に確認すべきこと

  1. 所属施設の支援制度:研修費用の負担、受講中の給与保障
  2. 教育訓練給付金の対象か:ハローワークに確認
  3. 受講後の活用場面:自分の職場・領域で特定行為が必要とされているか
  4. 研修機関の選択:eラーニング対応か、通学可能な距離か

今後の見通し:制度改善が加速

厚生労働省は2025年から「特定行為研修制度見直しWG」を設置し、以下の改善を進めています。

  • 柔軟な実習実施:受講者の技量に応じた実習の効率化
  • 既修了科目の免除:追加区分の取得をしやすくする
  • パッケージ研修の拡充:現場ニーズに即した領域を追加

2026年度の診療報酬改定でも配置評価の拡充が見込まれており、修了者への追い風は強まる一方です。

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まとめ

特定行為研修は、看護師が38の医療行為を自律的に判断・実施できるようになる制度です。修了者は13,887名(2025年9月時点)で、年間2,000〜3,000名ペースで増加中。研修機関は全47都道府県に474機関設置されています。

費用は30万〜250万円ですが、教育訓練給付金や所属施設の支援で負担を軽減できます。診療報酬上の評価が拡大しており、修了者を求める施設は増加傾向。特に在宅・救急・ICU領域では、修了者の市場価値が確実に高まっています。

「今のスキルにプラスαが欲しい」と感じたら、特定行為研修は有力な選択肢です。

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参考文献

  1. 厚生労働省「特定行為に係る看護師の研修制度」2026-02-16 閲覧)
  2. 厚生労働省「特定行為研修とは」2026-02-16 閲覧)
  3. 厚生労働省 第1回特定行為研修制度見直しWG 資料2026-02-16 閲覧)
  4. 日本看護協会「特定行為研修」2026-02-16 閲覧)

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